平成14年3月11日 日航機「よど号」乗っ取り犯グループメンバー(48)の元妻(46)が、警視庁公安部の取り調べに対して、1983年に起こった有本恵子さんの失踪事件に関して、「有本さんの拉致に関与した」との供述を行ったことが、マスコミ各社により一斉に報道される。
元妻は、当時語学留学のために英国ロンドンにホームステイしていた有本恵子さん(当時23歳)を「マーケットリサーチの仕事がある」などと言葉巧みに誘い、共に欧州各地を移動して安心させ、最終的に北朝鮮に拉致したとされている。
3月12日新聞各紙が朝刊で一斉に報道。
ワイドショーのニュースなどでも取り上げられる。
鈴木宗男衆議院議員(自由民主党)の問題を霞ませる勢いで、いかに全国民が拉致事件に対して憤りを持っているかを証明した形となる。
 有本恵子三拉致事件に関して地元兵庫県の救う会が、長瀬代表名で以下のアピールを発表した。



北朝鮮に拉致された日本人を救出する会・兵庫県協議会


(通称「救う会兵庫」) 代表 長瀬 猛



有本恵子さん拉致事件「救う会兵庫」緊急アピール

 昨11日、警察当局は有本恵子さんの失踪を、北朝鮮による拉致事件と認定し、特別捜査本部を設置した。この決定は昨日来の報道によれば、本日「よど号」犯妻赤木恵美子第3回公判において検察側証人として出廷する、八尾恵さんの供述にもとづくものとされる。

 拉致事件については、有本さんご両親ら「家族連絡会」は、繰り返し政府・外務省に真相究明、情報開示を求めてきた。そこで喫緊の情勢に鑑み、「救う会兵庫」は以下要項にて緊急アピールを発表する。



1.「8件11人」認定について

 恵子さんの失踪から19年、ご両親の元に「恵子さんが北朝鮮で生存している旨」の情報がもたらされて14年、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」が結成されてから6年が経過しての認定であり、遅きに失したと言わざるを得ない。

2.「8件11人」の被害者数について

 昭和63年(1988年)9月に有本さんにもたらされた「生存情報」では、北海道のIさんと、熊本県のMさんは、その手紙の中で共同生活を強いられている事を訴えており、Iさんに至っては、よど号グループ妻達と一緒に写ったスナップ写真が公開されている。
恵子さんの事件が認定された事は一定の前進ではあるが、同じ拉致ヨーロッパルートの被害者であるIさんとMさんが人数に含まれていない事は、到底納得できない。

 更に神戸市出身の田中実さんなど、被害者は70名〜100名以上とも言われており、被害者数は事件の全容を表現しているとは言い難い。

3.赤木(金子)恵美子の罪について

 旅券法違反・有印私文書偽造・同行使の罪で刑事訴追を受けた赤木の、第一回公判の冒頭陳述で、検察は起訴事実の背景として「拉致」に言及した。
そして本日第3回公判に至り、彼女が償わなければならない本当の罪は、その背景にこそ在ると確信するものである。

 数多の被害者のうち一人として帰国を果たした者も居らず、拉致事件は継続している上、赤木が永く海外逃亡していた事を勘案すれば、その罪を問う事を「時効」とする考え方は甚だ不適当であり、毅然とした捜査を進め、厳正な司法判断を求めるものである。

4.拉致事件の全体像について

「救う会兵庫」は今回の警察・検察当局の対応に一定の評価をすべきと考えるが、過去にみられた親北朝鮮政治家の圧力を排し、より正確な拉致事件全般にわたる情報開示を、政府・外務省・警察に対し強く求めるものである。
3月15日 自由民主党の中山正暉衆議院議員は15日、国会内で行われた拉致議連の会合で有本さんの拉致について、「あれは日本人が日本人を拉致したもので、北朝鮮は関係ない」と語ったとされる。

 これまでも中山議員の発言は北朝鮮の意向を代弁したと思われるものが度々存在したが、この発言は北朝鮮側が「トカゲの尻尾切り」の段階に入ったことと同時に、同議員が北朝鮮の意向を受けて行動していることの傍証とも言える。
同議員は拉致議連の会長職にあるが、他の議員からは会長辞職を求める声が大きいにもかかわらず、拉致議連の活動を停止しながら会長職だけにはとどまるという、まさに国会の中における救出活動への妨害行為をしてきている。

これを受け、救う会ネットと救う会滋賀では同議員に対する抗議活動を開始した。
活動の詳細はこちら
3月16日 有本恵子さんのご両親である有本明弘さん、嘉代子さんと土屋敬之地方議員の会会長、黒坂真大阪の会会長らが5時半より、吹田市のサニーストンホテルで記者会見を実施。
ここで有本さんが八尾恵氏から恵子さん以外に2人の日本人女性を拉致したとの話を聞いたと明らかにし、大きく報道された。

 この会見の折、以下のアピールが土屋地方議員の会会長から発表された。



アピール

 3月11日以来、八尾恵氏の証言によって拉致事件は大きな展開を見せるに至った。
実行犯である彼女自らが有本恵子さんの拉致を明らかにしたことの影響には計り知れないインパクトがあり、今後さらに事態は急展開していくと思われる。
私たちは八尾氏がさらに福留貴美子さんら他の拉致被害者について、あるいは自身が知りうる北朝鮮のテロ行為について、一日も早くすべてを証言することを求めるものである。

 さらに私たちは今裁判にかけられている金子(赤木)恵美子やすでに日本で生活しているよど号犯柴田泰弘(八尾恵氏の元夫)、拉致被害者を知っていると思われる帰国した3人のよど号グループの子供たち、さらにはそれ以外のこれまで拉致事件に関わったすべての人々が一日も早く証言し、拉致された人々を救出することができるよう協力することを強く要求するものである。

 拉致に関与した人間はよど号グループ以外にも相当数が日本国内にいると思われる。
たとえば原敕晁さん拉致事件の実行犯として韓国で確定判決が出ている李三俊・元在日朝鮮大阪府商工会理事長は未だ原さん拉致事件について一切語っていない。
また、北朝鮮の非合法活動に関与した故張龍雲氏は平成10年4月、横田滋家族会代表に宛てた手紙の中で神戸の田中実さん拉致事件の「責任者■廷楽は山形におり、実行犯韓竜大は青森県の八戸で生活しています。
しかし彼らに対する責任の追及は殆ど放棄されたままであります」(■は曹の字の縦棒を一本にしたもの)と伝えている。
これらの人々が1人でも多く、1分でも早く自らの犯罪を認め証言することが拉致事件を解決する道であることを忘れてはならない。
また、政府も積極的に情報を収集し、国民に明らかにすることによって「8件11人」以外のこれまで政府が公式に認めていない拉致被害者も含め、全員の救出のため一層の努力を払うよう要望する。

 全体の流れが大きく動いているこの機会にこそ、一刻も早い拉致被害者の救出を実現しなければならない。
関係者がこのアピールをぜひ理解されるよう切に希望するものである。

  平成14年3月16日
「北朝鮮による拉致」被害者家族連絡会 代表 横田 滋
北朝鮮に拉致された日本人を救出する地方議員の会 会長 土屋敬之
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 会長 佐藤勝巳
 「よど号」実行犯の弁護団が、「有本明弘さんの言う他の2人は事実誤認で、元妻は関与していない」と発表したと、マスコミ各社が報道。
また有本さんに恵子さん以外の拉致被害者に付いて語ったとされる男性も「そういう話をした覚えはなく、有本さんの勘違いではないか」と発言したという情報が、マスコミにより報道された。
3月17日 前日の有本恵子さん以外の2人に関して否定したと発表されたはずの元妻が、警視庁公安部の取り調べに対して「有本恵子さん以外にも2人を北朝鮮に拉致した」と供述したことがマスコミ各社により報道された。
これが事実とすれば、北朝鮮からの亡命者や元工作員の証言、元国内協力者などの証言とも合わせ、拉致事件は警察庁の公式認定以上に、更に被害者がいることが裏付けられることとなり、「被害者は70人〜100人近くいるはずだ」とする情報にも信憑性が出て来る。
3月19日 本日横田滋代表ら家族会14名と佐藤勝巳会長ら救う会全国協議会の4名が官邸を訪れ小泉純一郎総理、安倍晋三官房副長官に拉致被害者の救出について要請をした。
十数分にわたって行われた面会では、拉致事件の解決について、ご家族の心からの言葉を伝えると共に、24万458人分の署名を手渡した。
これで政府に提出された拉致問題解決を求める署名は累計で173万2458人分になる。
以下は総理及び官房副長官宛提出した要請文書。



内閣総理大臣 小泉純一郎様
 拝啓、平素の拉致問題に関する取り組みに敬意を表します。本日はご多忙な中ご面会の機会を賜り心より御礼申し上げます。

 先日の有本恵子さん拉致事件の実行犯の証言により、この事件を北朝鮮による拉致と認め、それまでの「7件10人」を「8件11人」と変更されました。私たちは有本さんの拉致を政府が認めるようかねてより求めてきましたので、その決定を多とするものです。また、私たちが要望してきた対策本部の設置についても安倍晋三官房副長官をキャップとするプロジェクトチームの結成が決定し、今後の活動に期待を持っています。

 しかしこの際、私たちは総理をはじめ政府に次のことを強く申し入れざるを得ません。それは「制裁をもって金正日政権に圧力をかけ拉致された人々を救出していただきたい」ということです。

 政府関係者のすべての方々が、拉致問題の解決のために「粘り強く話し合いを続ける」と口をそろえて言われます。しかし、20年以上の間被害者は家族と引き裂かれているのです。家族が名前を出して立ち上がったのは危険を冒してもこのような状況を打破するためです。私たちはこれまでコメ支援などの動きに対して、それが救出に一切効果を上げないどころか却って救出への流れを阻害するものであると主張し続けてきました。そして拉致された人々を救うために、制裁をもって圧力をかけてもらいたいとお願いして参りました。そのたびに政府の方々の口から出る言葉は「粘り強く」という言葉ばかりです。

 今年の1月、福留貴美子さんのお母さんが娘と再開することを夢見つつ他界されました。他の家族でも病床に伏している者もおり、また親は皆高齢になっています。私たちには「粘り強く」という言葉が「家族や支援者があきらめるまで粘り強く」とすら聞こえてくるのです。

 総理にお願い申し上げます。断固たる制裁をもって拉致された人々を救出して下さい。

 北朝鮮の金正日政権は日本人のみならず韓国から朝鮮戦争休戦以降だけで487名、朝鮮戦争当時の民間人被拉致者を入れれば8万余の人々を拉致している政権です。そして自国民に対し類例を見ない人権侵害を行って何の良心の呵責も感じない政権であります。このような体制に対して多数の拉致被害者を救出するためには「粘り強い話し合い」では不可能です。しかも、これまで日本から渡った100万トンを超えるコメ支援も拉致被害者の救出に何の効果も上げていないことは明らかです。

 重ねて申し上げます。一日も早く拉致された人々を救出するために断固たる姿勢をもって北朝鮮に対して下さい。総理の決断を心より期待しております。

   平成14年3月19日

「北朝鮮による拉致」被害者家族連絡会 代表 横田 滋



内閣官房副長官 安倍晋三様

 平素拉致被害者の救出に尽力いただき心より御礼申し上げます。このたび拉致問題に関するプロジェクトチームのキャップとしてご就任されたことに私共としても強く期待するものであります。

 さて、私共は総理に対しまして拉致問題の解決のため制裁を含めた断固とした対応をしていただきたいと要望しましたが、それを含めて次の各点につきご協力を賜りたく、お願い申し上げる次第です。

1、北朝鮮に時限つき解決を迫り、応じない場合は次のような制裁を課して下さい。
 ・北朝鮮船舶の入港禁止
 ・在日朝鮮人への再入国許可の停止
 ・第三国経由も含めた北朝鮮への送金の禁止

2、また、制裁ではありませんが、朝銀の不正に対する徹底的な調査、その他朝鮮総聯が行ってきた非合法活動の摘発など、徹底した対応を求めます。これはもちろん日本の法律を適用するだけのことですが、北朝鮮に強いメッセージを与えることになります。

3、3月11日に警視庁はヨーロッパ拉致事件に関する捜査本部を設置しました。しかし、これまで政府が認めてきた7件10人については捜査本部が設置されていません。ぜひ他の事件についても各県警に捜査本部を設置するよう求めます。

4、別紙(省略)3月16日付アピールの通り八尾恵氏以外にも日本国内に拉致に関わった人間は多数存在します。それらの人々の情報を収集して下さい。また、韓国内には相当数の亡命者が日本人拉致及び拉致された日本人の状況についての情報を持っています。韓国政府に情報の開示を強く求めて下さい。

5、昨年末巡視船に追跡され交戦の後東シナ海に沈没した不審船を早急に引き揚げ、北朝鮮に対してテロを許さないという強い姿勢を明らかにして下さい。

6、外務省の中にはごく一部ながら拉致問題を棚上げにしても日朝国交正常化を進めると公言した高官がいると言われています。これらの人々に対しては厳正なる対処を求めます。

 平成14年3月19日

「北朝鮮による拉致」被害者家族連絡会 代表 横田 滋
北朝鮮に拉致された日本人を救出する地方議員の会 会長 土屋敬之
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 会長 佐藤勝巳



 今回の面会は、故小淵元総理、森前総理に続いて実現したものだが、しかし小渕・森両総理のときは40分から1時間程度は面会時間があり、森総理のときは「拉致を北朝鮮がやったことは間違いない」「拉致問題が解決するまでは国交正常化交渉にサインしない」などと明言していた。
しかし今回は「不思議なのは今回小泉総理がわずかな時間しか取らず、しかも近くにいても聞きとりにくい蚊の鳴くような声で二言三言話すだけだったことでした。」(同行筋)との証言があるのはどういったことか?
報道されているように、この日安倍官房副長官をキャップとする拉致問題のプロジェクトチームがスタートした。これは歴代内閣初めてのことで、私たちも評価し、期待しているが、総理の口からはこれについても何も出なかったとされる。
田中前外相の問題に単を発したこのところの一連の騒動でだろうか、「体調が悪いようにも見えました」(同行筋)とはいえ、たとえ本人が何も考えていなくとも政治家ならば「今日からプロジェクトチームもスタートさせました。全力で頑張ります」といった、たとえリップサービスであっても何かあって不思議ではない。
わざわざ会っておいて、却ってこちらに不信感を募らせるような態度だったのはなぜなのか、もともとパフォーマンスが得意な人だけになおのこと疑問が募る。
首相自らの態度がこれでは、我々救う会ネットが実施中の政府与党3党と外務省に対する働きかけの行動が、正しい選択であったことは言を待たない。
今回の首相との面会実現に安心することなく、否、だからこそよけいに、働きかけの行動を継続しなければならない。

平成14年9月17日 北朝鮮の首都、ピョンヤンにおいて行われた日朝首脳会談の席上、北朝鮮側は、拉致事件の被害者の安否について、生存4名、他は死亡との情報を公開した。
会談後記者会見した小泉首相は、「被害者のご家族の胸の内を思うと、言葉もない」と語った一方、「拉致問題の解決なくして、国交正常化交渉なし」としていた訪朝前の態度とは裏腹に、日朝国交正常化交渉再開に向けた共同宣言に署名、「誠意ある対応をするという感触を得ることができた」と、一定の成果があったとするコメントを発表するなど、かなりの矛盾を見せている。

平成14年9月18日 日朝首脳会談の席上発表された安否情報について、拉致被害者家族で作る「家族会」(横田滋代表)及び支援者団体で作る「救う会全国協議会」(佐藤勝巳代表)は、共同で声明を発表、安否情報は信用できず、拉致被害者の死亡を認めることはできない、また死亡を認めることでこれらを既成事実化し、実際には生存している被害者を殺されてしまう心配があるなどとして、小泉総理宛に、さらなる真相究明と問題解決をせまった。



日朝首脳会談に対する私たちの立場



 本日の小泉総理の訪朝における拉致被害者の安否に関する報告に私たちは激しい憤りを感じる。
これまで拉致を「でっちあげ」としてきた北朝鮮がそれを認め、政府の認めた8件11人の内6人がすでに死亡したとの報告はとうてい許しがたいものである。
私たちは以下の通り要求し、小泉総理に早急な説明を求めるものである。

1、生存の確認された4人の1ヶ月以内の現状回復を求める。
それができないなら、北朝鮮に対し厳格なる制裁措置を行うべきである。

2、北朝鮮側が死亡したと発表した6人について、それが事実であるならばどのような状況でいつ亡くなったのか、直ちに明らかにすることを求める。
また、生存の確認された4人も含め、いかなる状況で北朝鮮に渡り、いかなる生活をしてきたのか明らかにすることを強く求めるものである。
また、8件11人以外の拉致された人々の存在も今回明らかになっている。
私たちは全拉致被害者についての安否確認と原状回復を一刻も早く求めるものである。

3、北朝鮮による拉致は許されざる国家テロである。
この間の被害者及び家族の苦しみは筆舌に尽くしがたい。
私たちは絶対にこれを許すことはできない。
北朝鮮当局はこの犯罪行為に対し全面的に謝罪し補償せよ。
また、この拉致を知りながらこれを20年余に渡り放置してきた日本政府の行為も到底許しがたいものである。
政府がこの過失を全面的に謝罪し補償するよう強く要求する。

 小泉総理はこのようなことを知らされながら国交正常化交渉を始めるとし、共同声明にサインした。
その共同声明には日本側から過去への謝罪を言及しながら拉致については文字も存在していない。
これは国民に対する重大な背信であり、絶対に許しがたい。
政府はこのような方針を直ちに撤回すべきである。
はるか昔に知っていた拉致に対して一切救出の努力をせず、それを相手の国家元首から告げられながら国交正常化交渉を始めると言う異常な行動はおよそ国家と言うに値しない行為である。

 私たちは拉致被害者と家族の運命に対し深い悲しみと祈りの誠を捧げてくれることを望む。
そして私たちはこのような日本国の状況に対し徹底して戦っていくことを誓うものである。

 平成14年9月17日

「北朝鮮による拉致」被害者家族連絡会 代表 横田 滋
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 会長 佐藤勝巳



平成14年9月23日 日朝首脳会談の席上発表された安否情報について、事実に反するものであることが、ますます明らかになりつつある。
以下に、西岡力「救う会東京」会長によってまとめられた疑義点の一覧を掲載する。



★北朝鮮が通告してきた「安否情報」が意図的謀略であると判断される理由

                  救う会東京会長・西岡力

1 元工作員・安明進氏が目撃したり消息を聞いた被害者(横田めぐみ、市川修一、田口八重子)はすべて死亡とされた。
死亡時期などもすべて安明進証言と矛盾するものとなっている。
拉致は認めるが金正日本人はそれを知らなかったという北朝鮮側の主張を貫くためには、拉致は金正日の命令で実行されたと明言している安明進氏の証言は認められない。
従って、安否情報は安明進証言を否定するという意図の下に造作されたと判断できる。

<安明進証言と北朝鮮「安否情報」の矛盾>

・ 横田めぐみさん 

(安明進証言)88年から91年まで金正日政治軍事大学分校日本人化教育担当教官。同大学敷地内に居住。未婚に見えた。服装、食事、嗜好品、化粧品、録画した日本のテレビ番組や新聞などすべて日本のものを与えられていた。

(北朝鮮「安否情報」)86年以前に朝鮮人男性と結婚、86〜87年に女児出産、93年3月13日死亡。

(救う会見解)日本人化教育の教官をさせられている立場で朝鮮人と結婚すると文化的に朝鮮への同化が進むから、それはさけるはず。金正日政治軍事大学の存在は北朝鮮で徹底的に秘密にされており、その教官が一般社会に出て結婚したり子育てしたりはしない。

・ 市川修一さん 

(安明進証言)金正日政治軍事大学分校日本人化教育担当教官。1990年7月か8月同大学本校大会議室隣の卓球場で安明進ともう一人の工作員が話しかける。安明進は市川さんからマイルドセブンを一本もらう。「外国語講座のソンホ先生」と呼ばれていた。清津連絡所工作員が何人かと一緒に拉致。北朝鮮国民はほとんどしない赤いネクタイを好んでいた。

(北朝鮮「安否情報」)1979年9月4日死亡。

(救う会見解)北朝鮮では社会主義少年団員が赤いネクタイを締めるので成人になると赤いネクタイを好む者はほとんどいない。そのため安明進氏は市川さんのネクタイの好みを強く記憶していた。市川さんは確かに日本にいたとき赤いネクタイを好んでおり、自宅には多くの赤いネクタイが残っている。市川さんの家族はネクタイの好みについて安明進氏が指摘する以前に誰にも話していないから、安明進氏の証言の信憑性は高い。

・ 田口八重子さん

(安明進証言)金正日政治軍事大学分校日本人化教育担当教官。1988年1月大韓航空機爆破犯人金賢姫が犯行を自白し同大学は大幅にカリキュラムなどが変更されたが、田口さんは大学内所属が変わり郊外の人目に付きにくいところに移されただけで無事だった。

(北朝鮮「安否情報」)1986年8月10日死亡。

(救う会見解)1998年救う会の招請で来日した安明進氏は、実名を出して救出運動をすると被害者が殺される恐れはないかという家族の質問に「田口さんは金賢姫の自白後も無事だった。本人が反抗しない限りせっかく拉致してきた貴重な人材を殺すことはないはず」と答えた。1987年11月の大韓機事件前に死んだという北朝鮮情報は信じがたい。

<有本恵子さんについて>

 有本恵子さんに関しては最近に至るまで継続して生存情報が出ていた。出所はすべて北朝鮮に近い関係者だった。特に有本さん拉致実行犯リーダーの田宮高麿が1995年11月「有本さんらを日本に帰したい」と語ったことは重大だ。有本さんらが生還するとよど号グループを使って金正日が行ったり計画したりした多くのテロや犯罪の全貌が明らかになる。それを恐れて石岡さんの手紙が着いた1988年9月の直後である同年11月4日有本、石岡が死んだことにしたと考えることができる。

★生存情報

・ 1991年1月16日、有本・石岡両家族が東京で開催を予定していた記者会見場にNHK記者の紹介で現れた遠藤忠夫・ウニタ書店経営(当時)氏が、恵子さんらは生きている、自分は金日成の侍医につながるコネクションがあるから会見を中止すれば助けてやる、と語って会見を事実上中止させた。



平成14年9月23日 日朝首脳会談に始まり、少しづつ動きを見せつつある拉致問題について、一連の報道に接した、元北朝鮮工作員安明進氏から、「救う会全国協議会」荒木事務局長宛にメールが届いた。その中で安明進氏は次のように述べている。



今回金正日が拉致日本人現況に関して認め、過ちを詫びたのは幸いですが、絶対にここで勝ったとして終わってしまってはなりません。めぐみさんたちが死んだと言っていますが、私は絶対にそんなわけがないと思います。それはせっぱ詰まった現状況から逃れるための嘘に他ならないと考えます。
 しかし、日本の経済協力が至急必要で、過去の犯罪を認めた金正日ですから、さらに強く出ればそれ以上に大きな罪悪も認めるかもしれず、死亡したと嘘をついた拉致日本人を返すこともあるのではないでしょうか。ともかく期待をかけて、最後まで闘ってください



 安氏は、一連の報道を受けての日本マスコミの取材にも快く応じ、特にFNN(フジテレビ・ニュース・ネットワーク)とのインタビューでは、北朝鮮当局の示した安否情報について、次々とその矛盾点を指摘して見せるなど、積極的に問題解決に協力する姿勢を見せている。
また、大韓航空機爆破実行犯で、元死刑囚の金賢姫氏は、李ウンヘこと田口八重子さんについて語り、北朝鮮側の発表との矛盾を指摘している。
これらのように、実際に拉致被害者に接した元北朝鮮工作員による指摘、外務省担当官の不備や不手際などが次々と明るみに出ていることに鑑み、私達救う会一同は、今回北朝鮮当局が示した安否情報は信用できる物ではないと判断、今後とも拉致問題解決に努力して行くことを確認した。

平成14年10月23日 家族会・地方議員の会・救う会では本日23日次の声明を発表し、その趣旨に基づき本日拉致議連及び政府に5人を返さないよう要請を行った。

3団体声明

 私たちは5人の北朝鮮送還に反対し、完全な原状回復を求めます
 私たちは今回帰国を果たした蓮池薫さん、奥土祐木子さん、地村保志さん、浜本富貴恵さん、曽我ひとみさんの北朝鮮送還に反対し、家族全員の帰国を求めます。もちろんそれには曽我さんのご主人であるジェンキンス氏及び横田めぐみさんの娘と言われるキム・ヘギョンさんも同行させ日本政府が責任を持って保護することも含まれます。

 北朝鮮はこれまで様々な約束を反故にしてきました。たとえ後に完全帰国ができると約束したとしても、何らかの理由をつけてその約束を守らない可能性は少なくありません。もし、北朝鮮に行ってから再度の帰国ができなくなれば取り返しがつきません。すでに家族の中にはその恐怖から、体調を崩す人までもでています。

 また、拉致された日本人は5人だけではありません。私たちが大部分生存していると確信している8人に加え福留貴美子さん、田中実さん、小住建蔵さんをはじめとした膨大な数の未確認者がいるのです。日本政府は北朝鮮に拉致された人々すべての完全原状復帰を実現する義務があります。そのためにも、帰国した5人とその家族を守り抜くことが絶対に必要です。

 政府・議会・報道関係各位、そしてすべての国民の皆様のご協力を切にお願い申し上げます。

 平成14年10月23日
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会 代表 横田 滋
北朝鮮に拉致された日本人を救出する地方議員の会 会長 土屋敬之
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 会長 佐藤勝巳



上の声明を受けて発表された拉致議連の緊急声明

緊急声明



「私たちは5人の北朝鮮送還に反対し、完全な原状回復を求めます」という家族連絡会等3団体からの率直かつ叫びともいえる強い要請は私たち「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟」も当然のことと考え、真摯に受け止める。

 また就学中を理由に、「11月中の子供たちの帰国は不可能」とし、卑劣な人質外交を繰り返す北朝鮮の態度にあらためて強い憤りを感じざるをえない。それだけに、政治の責任としてこの要請を実現すべく、私たちは全力で行動することを表明する。

 平成14年10月23日

北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟 会長 中川昭一

平成14年10月23日 本日夜23時30分より放送のニュースジャパン内で、FNN(フジテレビ・ニュース・ネットワーク)の取材陣が、日朝国交正常化交渉の北朝鮮側担当者のトップである北朝鮮外務省アジア局の朴副局長との単独インタービュー内容をスクープとして発表した。
FNNの発表内容によると、朴副局長は「現在北朝鮮国内にいる家族を含めて、拉致被害者の永住帰国を保証する用意がある」と語ったとされる。
また、「死亡した被害者についても、流出した骨を捜索するなど、精一杯努力している」とも語っているが、誰一人として信じようとしない死亡説を、何とかして確定させたい最後のあがきであろう。
ただ朴副局長は、同じインタビューの中で「過去の日本の残虐行為と我々の拉致事件は比較にならない」「日本国内には我々を誹謗中傷し続ける論調が根強くある」等と日本側を強く非難しており、情勢は流動的。
「永住帰国を決めるとしても、本人達が帰国してから、話し合わなければ何もならない。期日は10日程度の約束だったはずで、これは信頼問題だ」とも語り、日本国内にある一時帰国した拉致被害者の出国阻止や、北朝鮮に残された家族の即時帰国を求める声を牽制した上で、「9月17日の「平壌共同宣言の精神」に則って、マレーシアで行われる政府間協議に望みたい」としている。

これは核開発疑惑に見られる米国の対応姿勢、日米間三ヶ国協議等に見られる対北朝鮮柔軟姿勢などに対して、軽水炉転換や資金援助、戦後補償などを要求するために人質外交のカードを切って来たものと推測される。



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